防犯カメラの構造 Chapter.1

防犯カメラの構造。


それを見れば現代のあらゆる技術が総合的に活用され、一体化していることがわかります。

今回は一般的な防犯カメラの構造について、さわりのみご紹介します。

 

camera_structure



レンズカバー・本体カバー


レンズカバー・本体カバーは、外装にあたるパーツです。
一般的に以下の材質が採用されています。

・アルミ合金
・ABS樹脂
・ポリカボネート

アルミ合金は、重量が軽く切削加工の世界では扱いやすい素材として知られています。また安価で手に入れやすいのも特徴です。さらに耐食性に優れることから車両用材にも採用されています。
ABS樹脂は、耐衝撃性に優れるため、剛性を要求される多くの分野で活躍している素材です。引っ張りに強いなど、ゴムのような特性を持つため、落下等の衝撃には滅法強いです。ほどよい光沢があり、家電機器で採用されています。
ポリカボネートは、透明でこちらもまた耐衝撃性に優れた素材です。透明度で言えばガラスとほぼ同程度と言われ、この特性から防犯カメラのレンズカバーに多く採用されています。またカメラレンズ自体に採用される場合もあり、その透明度は高く評価されています。

いずれも「加工性」が共通しており、「耐食性」「耐衝撃性」といったキーワードが、防犯カメラとの深い関係を生んでいるのでしょう。


レンズ


レンズの歴史は大変古く19世紀から始まりますが、防犯カメラに導入できるような実用性を有したレンズが誕生したのは、21世紀に入ってからです。撮像素子の進化がレンズに大きく影響を与えています。撮像素子とは、このあと紹介するCMOSイメージセンサを代表する素子を指します。
前提として映像で目に見える範囲=視野角は、レンズが決定しています。防犯カメラの視野角はそのほとんどが水平100°前後で設計されています。
防犯カメラのレンズには大きく「単焦点レンズ」「可変焦点レンズ」の2種類が存在します。
単焦点レンズとは、焦点距離が固定されたレンズです。つまるところズーム機能のないレンズを指し、その性能から固定レンズとも呼ばれます。防犯カメラの世界では、広角が標準的なレンズです。コスト面では可変焦点レンズよりも優れています。
可変焦点レンズとは、焦点距離を変更できるレンズです。可変焦点レンズは単焦点レンズでは実現できないズーム機能を有します。単焦点レンズに比較し、性能上の欠点はありませんが高額です。
焦点距離の変更は、手動で行なうものと自動で行なうものと2つ存在します。
手動で行うものは、ハードウェア上に調整ダイヤルが搭載されており、それを指で調整することで望遠/広角の切り替えを実現します。このタイプのレンズは、バリフォーカルレンズと呼ばれます。
対して自動で行なうものは、ソフトウェア上で望遠/広角をコントロールします。このタイプは、(電動)ズームレンズと呼ばれます。

またレンズのスペックを比較する際には、焦点距離に注目すると適切な選定を実現できます。
焦点距離の値が小さければ広角になります。防犯カメラでは、一般的に2.8mmを採用していることが多く、2.8mmは水平100°前後の視野角になります。


CMOSイメージセンサ


CMOSイメージセンサ(以下:CMOSセンサ)は、あらゆるカメラに搭載されています。例えばスマートフォンのカメラにも搭載されている汎用性の高いものです。
ではそんなCMOSセンサは何かというと、撮影された映像を電気信号に変換する装置です。厳密には光を電気信号に変換します。少々難しいように聞こえますが、視覚情報を色分けし色分けされた情報を生成すると言えばイメージが掴めるはずです。色分けされた情報は、映像を構成します。
この原理は1960年代から大きく変わっておらず、60年を経過した今現在もカメラの心臓部として活躍しています。
SONY社はCMOSセンサメーカーの代名詞ですが、最近では他メーカーから防犯カメラ専用設計のCMOSセンサが流通しだしています。
CMOSセンサによって、色味や逆光補正性能、暗視性能に差があります。
ここ数年、これらの性能はソフトウェア上で補正されることが多いのですが、カメラの心臓部であることに変わりありません。
No CMOS , No CAMERA...

 


アンテナ(無線対応機種のみ)


アンテナは、無線対応機種に搭載されている部品です。無線対応でもアンテナの見えない機種がありますが、その場合もきちんとアンテナが内蔵されています。
このアンテナは、映像情報や設定情報を無線ルーターと送受信します。
無線対応機種ではない場合には、アンテナの代わりに差込口が存在し、ケーブルを差し込んで情報を送受信します。
一方、有線防犯カメラではLANケーブルを使用し配線します。
通信産業で盛んに活用されるLANケーブルですが、有線式防犯カメラの標準仕様になりつつあります。

LANケーブル

 


角度調節ネジ・マウント 

カメラの購入を決めた後、「見える範囲」について想定する必要があります。

「見える範囲」とは、防犯カメラの設置位置から何がどう見えるかの範囲です。
製品の性能を理解した上で、以下のような設置をおこないます。
角度調節ネジ・マウントは、最終調整を行なうパーツです。

camera_setting


 

いかがでしたでしょうか。

材料、光学、通信… あらゆる技術が、活用されていることをおわかりいただけたかと思います。
Chapter.2以降では、それぞれの技術についてより深堀りしていきます。

ブログに戻る